「優良」愛好家が安全指導 水上バイク事故防止 海保、新制度創設へ
水上バイクの事故が絶えず、暴走行為や騒音が社会問題となる中、海上保安庁は、安全指導に協力する水上バイク愛好家らを指名する「水上オートバイ安全指導協力制度」を創設する方針を固めた。東京湾周辺を中心に2019年度から運用を始め、東京五輪・パラリンピック期間中の安全対策にも役立てる。
安全指導協力者になる対象は、一定の資格や技能、知識を持った水上バイク関係団体や海事関係団体、ライフセービング協会員をはじめとした愛好家ら。海保が試験を課して3段階に格付けして指名する。ルール違反者を見つけた場合の海保への通報をはじめ、海上でのイベントの際には周辺海域の警戒や警備補助などの業務を想定している。 海保は協力者であることを示すパトランプと標章を付与するほか、ウエットスーツや救命胴衣などの活動衣を支給する方針。財務省など関係省庁や関係団体から意見聴取を進め、18年度中に基準を定めて制度設計を行いたいとしている。 水上バイクについて海保は、湘南海上保安署(藤沢市)など国内4カ所で安全指導のために使っているが、レスキュー機材としては正式採用していない。一方、民間団体では、水上バイクを活用した米国発祥のレスキュー技術を日本で普及させる教育機関「K38ジャパン」を運営する公益財団法人マリンスポーツ財団(東京都港区)や、レスキューなどに使う水上バイクを海辺の拠点に提供・配備する団体「シーバードジャパン」(事務局・兵庫県明石市)などが先駆的に活動している。 海保交通部安全対策課は「米国では民間による安全指導の協力制度が確立している。特に操船技術や運航知識に秀でた安全指導協力者から知見を吸収し、現場での安全対策を進めるとともに、東京五輪に向けて態勢を整えたい」と話している。
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